昨年10月から予約していた秋田県の乳頭温泉に、やっと行くことができた。
乳頭温泉と言っても、いくつかの温泉から成り立っており、「乳頭温泉郷」の方が正しいのかもしれない。
私は中でも最も人気で、なかなか予約の取れない、「鶴の湯」に宿泊した。
新幹線「こまち」で田沢湖下車、3メートルほどある雪の壁を抜けながらバスで30分、秘湯にしてはアクセスが良い。
私は「離れ本陣」という別棟の、まさに「離れ」を案内された。
部屋のドアを開け、土間で靴を脱ぐ。8畳部屋の角には本格的な囲炉裏、内風呂・テレビは無い。
従業員の方が長靴を部屋に運んでくれ、客は浴衣に長靴といったスタイルで、湯巡りを楽しむことができる。ちょっとしたことだが有り難いサービスだ。
温泉は内湯が5つくらい、露天が女性専用と混浴の2種類ある。
東北などにある名湯は混浴が珍しくないが、基本的には混浴を経験することは、そうないだろう。
実際私自身も混浴経験は2回目だったので、少し戸惑ってしまった。
混浴は闇に身を隠せるよう夜中に行くことにし、日中は女性専用風呂を楽しんだ。
「冬季はお湯がぬるい」と言われた通り、本当にぬるかった。
だがしばらくすると身体の芯から温まり、温度は気にならなくなった。
乳白色のお湯。
これぞ乳頭だ。よく見ると青白くも見える。
完全に源泉かけ流しで、温泉成分の湯の花も多かった。
そんなお風呂と山あいの景色、ほど良く降る雪・・・
通常、数十分も入って居られない私だが、ぬるま湯が手伝ってか、1時間半は浸かっていただろう。
夕飯は囲炉裏を囲み、イワナを串に刺し、炭火で焼く。
地元で採れた山菜を中心に、結構な品目が出された。
特においしかったのが、「山の芋鍋」。
これは絶品だった。有名なのもわかった。
夜中混浴に行くと、意外にも結構入浴している人が多かった。
2日目に、おいしい手作りの朝食をいただき、乳頭湯巡りをした。
孫六は近くのバス停から20分ほど歩くが、自然のままの温泉を楽しむことが出来た。なんといってもこちらの旅館のおばあちゃんが、田舎の素朴な感じで、心がとてもとても和んだ。癒された。
他にも蟹場(がにば)、大釜温泉に入り、露天でビールや酎ハイの缶を空けた。
そして妙の湯。
乳頭温泉は乳白色のイメージしかなかったが、妙の湯は違っていた。
「東の金泉・銀泉」と云われている。
逆に西は、有馬温泉のことだろう。
本当に有馬温泉のような色をした金泉だったが、川沿いにあるため、露天風呂ではちょっとした滝を見ながらゆっくりと入ることができた。
やっぱり温泉は雪見だと、つくづく感じた。
「日本秘湯を守る会」に登録している宿でしか買えない、「日本の秘湯」という本を自らのお土産に、帰りはグリーン車に揺られながら帰った。
温泉好きとしては、次なる候補地が10以上ある。
本物の温泉はいいものだ。